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鍼とホクロ

 直径3mmくらいまでの平坦なホクロならば、比較的容易にとれます。しかし、鍼といっても、平頭火鍼という特殊な鍼でとります。通常、刺入する鍼は先端が尖っていますが、平頭火鍼は名称の通り、先端が平べったく、丸みを帯びています。そして、耐火性のある素材で作られているので、火であぶって使うことが出来る鍼でもあります(日本で「ほくろ取り」を鍼灸師が行うことは極めて違法に近いと推察されるため、当院では施術できません)。ちなみに、お灸でホクロをとる方法もありますが、うまくすえないと、何度やってもホクロがとれないうえに、最悪の場合皮膚がケロイド状になります。また、正常細胞を過剰に焼き過ぎるとクレーターのように凹みが残ってしまい、うまく皮膚が再生しません。お灸もうまくやれば綺麗にとれますが、平頭火鍼で皮膚を焼く方が簡単かつ成功率も高いです。
 
 平頭火鍼の使い方はいたって簡単で、平頭火鍼を火であぶり(鍼がオレンジ色になるまであぶるとケロイドになりやすいので、数秒あぶるくらいがベスト)、ホクロにジュッと当てるだけです。多少の経験とコツ、器用さは必要ですが、ホクロを構成する黒い色素を焼く感じで、鍼を当てるのがポイントです。大体1か所につき、2~3回くらい鍼を当てれば、完了です(当て過ぎるとケロイドになったりして綺麗に仕上がりません)。ホクロのある部位の皮膚に蛋白変性を促すことが目的なので、執拗にやらなくても軽く鍼を当てて熱を加えれば良いのです。悪性のホクロを下手にいじるとメラノーマ(ガン)になるという話もありますが、一瞬でホクロを焼いてしまうので問題はありません。
 
 皮膚はある一定の熱が加わることで、蛋白変性を起こし、1か月くらい経つとホクロがかさぶたのようになって剥がれ落ちます。焼いた後はそのまま放っておいても平気です。1回目でまだ黒い色素が残っているようならば、2回目を日を空けて続けて行います。あまり大きいと難しいので、小さいホクロに有効です。ホクロは悪性でなくともガン化する可能性もあるので、出来ればとった方が良いです。しかし、平頭火鍼はケロイド体質でなくとも焼いた皮膚がケロイド状になることもあるので、注意が必要です。また、焼いた部分のホクロはほとんどが綺麗に消失するのですが、白っぽく色素が抜けた痕が残り易いので、覚悟がない方にはお勧めできません。また、焼いた後は半年から1年くらい痕が赤みを帯びていますが、だんだん引いて元の皮膚の色に近づいてきます。ちなみに、私はホクロがガン化することの方が怖いので、ほぼ全身のホクロを自分で焼いてとりました。
 
 盛り上がったホクロや大きいホクロは綺麗にとるのが難しいです。隆起した大きなホクロでも平頭火鍼でとれるケースもありますが、お勧めできません(黒い色素はとれても、元々の隆起は残ります。また、赤みが傷のように残ったりします。ちなみに中国では起痣针痧针美容火针と呼ばれるメスのような針で除去したりしているようです)。信頼出来る医師に相談して、レーザー治療など、最新医学に頼るほうが安全であると推察されますしかし、炭酸ガスレーザーなども結局は皮膚を焼く点に関しては同じなので、うまく焼けたとしても焼いた部分が正常な細胞として元通りに再生するわけではないので、白っぽく色素が抜けたような感じで痕が残ってしまうことがほとんどです。これは火鍼で焼く場合と同じです
 
 

なぜホクロが出現するのか

 今のところ、なぜホクロが体表に出現するのかは医学的に解明出来ていないようです。鍼灸の古典には気血の滞りによってホクロが出来る、というような記載がありますが、これはあながち間違ってはいないでしょう。また、経絡・経穴現象には不明な点が多いですが、例えば、呼吸器に問題があると肺経や大腸経の経絡上にホクロが多く現出する例もあります。つまり、生体内で何らかの不具合があると、それが体表部にホクロとして現れるようなのです(単純にその部位だけ代謝が悪いなど)。また、何らかの外的刺激を、皮膚に一定期間受け続けると、ホクロとして皮膚に障害が残るようです。これは、ソバカスと似たような生成機序かと思われます。とにかく、身体の状態が良くないと、ホクロというものが体表に現れるのは間違いないと思います。
 
 

人相術におけるホクロ

 人相術では、ホクロは全て凶であるとしています。全般において何らかの障害を示します。かつて、観相家の初代目黒玄龍子はホクロについて「地表の墳墓のようなものである。」と言い(『南北相法』巻ノ五には「黒子は、例えればこの世にある墳墓に等しい…」と記されている。初代目黒玄龍子の著書には、『南北相法』の影響を色濃く受けたような記述が多い。)、また、櫻井大路は「業の現れである。」と、その著書で述べていましたが、これも外れてはいません。人相術では、ホクロがある部位の年代や事象に障害があるのは事実ですし、簡単に言えば、ホクロが多いほどその人生において障害や困難、苦難が多いというわけです(基本的には、大きいホクロは判断せず、小さくピリリと勢いのあるホクロを凶であると観ます。)。
 
 昭和期に山口素櫻が書いた「ホクロ占い」には、ホクロの場所とその運命について色々と記されていますが、若干、真実とはかけ離れた内容になっています。まぁ全部が全部外れているというわけでもありませんが、人相術はそもそも巷の他力本願的な「占い」とは異なりますので、ホクロで「占う」ということ自体に問題があると言えます。ホクロについての観相の仕方は、人相術のページで詳しくまとめますので、興味のある方はご覧下さい。とにかく、ホクロは、綺麗にとれるならば、医学的にも、運命学的にも、とってしまったほうが良いのは間違いありません。
 
 

浮気とホクロ

ちなみに、女性で、浮気が常態化してくると下唇にホクロが出てくる場合があります。薄く、青黒い感じで、もやもやと色素沈着したようなホクロが現れます。古い人相術の本には中年女性にこの相が現れると書いてありますが、私が観てきた経験では、20代でも現れた女性を何人か知っています。浮気が軽いうちはホクロも薄いですが、浮気が常態化してくると、色も濃くなってきます。浮気の相は他にもいくつかありますが、この下唇のホクロも1つの浮気の相です。
 
ちょっとだけですが、ホクロに関してだけの、浮気がちな相を公開しましょう。まず、大まかな観方としては、目の周りと口の周り(つまり五行でいう「水、腎」の領域)にホクロがあると、情欲に溺れやすい傾向にあります。すべては眼の相で最終判断するのですが、とりあえず、ホクロの位置とその意味を少しだけお教えします。
 


 
①妻妾宮(魚尾、奸門を含む、コメカミのあたり)のホクロ。女性は左の妻妾宮にホクロがあると、自分から能動的に浮気する。右にあると、男性から誘われて浮気する(男性はこの逆)。女難、男難の相で、離婚を繰り返す相でもある。
 
②涙堂(眼の下の部分)のホクロは別名「小町ボクロ」とか、「泣きボクロ」などといい、ここにホクロがあると、異性の出入りが激しい。また、別称の通り、泣く事が多い人生を歩む(『新世紀エヴァンゲリオン』の第九話「瞬間、心重ねて」で、加持リョウジが赤木リツコに言うセリフ、「それはね、涙の通り道にホクロのある人は、一生泣き続ける運命にあるからだよ。」 というのは、決して間違ってはいない。)。さらに、男女共にモテるタイプだが、離婚を繰り返す相でもある。ちなみに、涙堂は別名「ホルモンタンク」とも呼ばれ、ここが膨らんでいると、精力、性欲が共に強い。涙堂は陰徳についても観るので、膨らみが豊かで色が良ければ性格も良く、行いも良く、体力も充実している。逆に凹んで色が悪いのは腹黒さ、精力の過剰消耗、精神不安定、自律神経失調、陰徳の欠如、下半身の冷え、腎機能の低下、泌尿・生殖器系の不具合などを示す。戦時中、徴兵を逃れるために涙堂に鍼を刺し、尿に蛋白を下ろした(蛋白尿)という話があるが、これは涙堂が腎機能と密接な関わりがあることを示したひとつの事例である。また、涙堂は子供の事についても観るのだが、涙堂にホクロがある夫婦が交合すると、奇形児や障害児を産む可能性が高い(つまり、子供の事で泣く。)。また、子供が非行に走ったり、社会的に問題を起こす(犯罪者になるなど)パターンもみられる。その他の件に関しては人相術のページを要参照。子供との縁についても詳しく記載する。
 
③下唇のホクロは上述した通り。
 
④古典では眼球のホクロで、白目の部分にホクロがあるのも、ひとつの浮気の相とされる。しかし、これに関してはまだ確信が持てない。実際はホクロ云々よりも、眼そのものの神気(≒雰囲気)を観るのが最も重要。
 
⑤命宮(眉の間)にホクロがあると、心がうつろいやすく、縁が変わり易い。


 今のところ、最新医療(レーザー手術など)を用いたとしても、ホクロを完全に、綺麗にとることは出来ないようです(ホクロの状態によってはかなり綺麗に取れることもあるようです)。したがって、人相術でいえば、ホクロをとる事により大難は逃れても、小難からは逃れることが出来ないことになります。むしろ、ホクロのとり方を誤り、大きな傷にしてしまったら、困難も大きくなるかもしれません。このあたりの事をどう捉えるかは個人の自由ですが、ホクロをとって運命の転換を受動的に図るか、またホクロをとらずに自分の生活態度や生活環境を能動的に見つめ直すか、はたまたその両方か。ホクロでお悩みの方は、これを機会に、ホクロについて真剣に考えてみるのは如何でしょうか。